30代男、独身を謳歌する

沖縄県で内科医をしています。生まれた地から遠く離れて生きる日々の記録を綴ります。

COVID-19治療 2022年12月

本業の方で、少し院内レクチャーをする機会がありました。

地域でコロナ診療に従事しますと、大人も子供も共に診療します。

しかし、総合内科という看板を下げると、やはり小児科診療からは離れる傾向です。

 

随分と知らないことも増えてしまいましたので

一度自分なりに整理をしてみました。

 

まずは大人です。

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新型コロナウイルス感染症診療の手引き 第8.1版」をもとに考えます。

オミクロン株の流行と共に、中和抗体薬の立ち位置が変わったな、という印象です。

抗ウイルス薬が使えない状況で考慮される薬剤、との立ち位置になっています。

 

よって、基本的には何かしらの抗ウイルス薬で対応というのが、基本路線と考えます。

①ベクルリー

 長所:軽症〜重症まで投与可能である

    点滴で投与できる(飲めなくても投与可能)

 短所:腎機能障害では使いにくい

    消化器症状、徐脈が生じうる

②ラゲブリオ

 長所:肝機能障害、腎機能障害があっても投与可能

 短所:カプセルが大きい、消化器症状が生じうる

 

ラゲブリオに関してはメーカーが脱カプセルを認めてはいませんが、

腎障害のある胃瘻患者さんに対して、脱カプセルして投与したことはあります。

 

パキロビットが世の中ではかなり使えるようになっておりますが、

当院では使えないので現状自分自身の使用経験はありません。

いずれ、併用薬禁忌/注意薬のまとめも作成していこうと思っています。

 

次に小児です。

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まずは、フローチャートで対象に振り分けていきます。

ざっくり分けると、①対症療法のみ、②抗ウイルス療法、③中和抗体薬、の3択です。

その振り分けに必要な重症化リスク因子は、明確な記載がないですが

小児科で生じうるような病名からは右上図のように、比較的高リスクと低リスク、中間リスクに分けられそうです。

成人では重症化リスク因子に含まれる気管支喘息も、小児科では明確なリスク因子にはならないようです。

現時点ではエバシェルドが予防的な使用のみ、となっている点が注意でしょう。