一般内科外来をしていると、
高血圧、糖尿病、脂肪肝、肥満、、、。
最近ではコロナウイルス感染症の重症化リスクとも言われており管理の意義は高まってると認識しています。
外来には色々な患者さんがいますが、やはりダイエット(減量)は非常に大事になります。
実際の外来でも日々悩んでいますが、知っていた方がいい知識として是非共有しましょう。
①摂取量の考え方:摂取カロリー
②消費量の考え方:運動
の両方を考えていこうと思います。
例として挙げるものは、実際に外来で相談したものを前提に記載していきます。
そうでないと、机上の空論になってしまいますので。
とはいえ、一応知っておいて欲しい知識として、ザックリとした計算ですが
体脂肪1kg=7000kcal、は覚えておいてください。
これからの話はこれをベースに話を進めていきます。
要するに、7000kcal消費したら1kg減量成功、と思っておいてください(簡略化)。
①摂取量の考え方:摂取カロリー
食事量を減らす意味は何か。
これは明確で摂取カロリーが減ると、減量が進みやすいからです。
食事の調整は、運動に比して約3-10倍の減量効果と言われております。
ということで、摂取カロリーをどれぐらい減らせるかは大事です。
・休肝日
「休肝日」とは、アルコールにより負担のかかる肝臓を休ませるために週1回は飲酒を休もう。
これが背景にある運動です。
ただ、実際には休肝日があったらどういいの?、これは残念ながら不明です。
ただ、イチ内科医師の立場では1週間当たりの飲酒量が減るのはカロリー減量には良いと思います。
では、ビール、焼酎、ハイボールのカロリーはどんなもんでしょうか?
意識して飲んでいますか?
アルコール度数ぐらいは気にしているかもしれませんが、カロリーはどうでしょうか?
キリン一番搾り 205kcal/500mL
アサヒスタイルフリー糖質ゼロ 24kcal/500mL
黒糖焼酎れんと(25度) 146kcal/100mL
日本酒 103kcal/100mL
ハイボール 95kcal/200mL
よくわからないような、、、。
ザックリ言えば、500ml缶ビール 200kcal、日本酒1合 185kcal、ハイボールコップ1杯 95kcal
先程の「体脂肪1kg=7000kcal」を参考にすると、
「500mL缶ビール 35本で体重1kg」
もし、毎日500mL缶1本飲む方が、週1休肝日を作ると、1年で1.5kgの減量になります。
・休パン日
外来にどうしても菓子パンが好きで毎日食べるという人が来ました。
よって、休パン日を設定することにしました。
イメージ通り、カロリー高いです。
メロンパン 400kcal
アンパン 300kcal
クリームパン 280kcal
カレーパン 380kcal
焼きそばパン 300kcal
先程の「体脂肪1kg=7000kcal」を参考にすると、
「メロンパン 18個で体重1kg」
もし、毎日メロンパン1個食べる方が、週1休パン日を作ると、1年で3.0kgの減量になります。
・ブラックコーヒー
ブラックコーヒーは基本的に0kcalです。これに砂糖、ミルクが入るとカロリーが増えます。
僕が学生の頃好きだった「ボス レインボーマウンテン」は200mLが60kcalになります。
もし、毎日1缶飲んでいる人が、ブラックコーヒーに変えると、1年で3.2kgの減量です。
②消費量の考え方:運動
運動は食事調整よりも効果が少ないのに何故やるか?
これは、運動習慣のある方はリバウンドしにくいから、です。
せっかく体重を落とせても、すぐ戻ってしまうなら勿体無いです。
食事と同様カロリーで考えます。
消費カロリーは運動強度と時間で決まります。
僕個人としてはランニングなども苦手なので、よくウォーキングを勧めています。時間をかける運動は結構難しいです。
運動強度の単位をMETsと言います。
詳細は省きますが、下記のようになっています。
歩行
軽く(4.2km/hr) 3.0METs
ゆっくり(4.8km/hr) 3.5METs
それなり(5.5km/hr) 4.5METs
ランニング
6.4km/h 6.0METs、8.0km/h 8.3METs、13.2km/h 12.0METs
一般的なウォーキングは3.0-3.5METsの範囲であろうと思います。
「消費カロリー=体重✖️METs✖️時間」、です。
例えば、60kgの人が、ゆっくり、1時間歩くと、210kcalの消費です。
また、1000歩=10分、の運動にあたります。
最近ではスマホに万歩計機能がついていますので、外来では自分の歩数を確認してもらっています。日本人成人の平均歩数は、男性 7000歩、女性 6000歩ぐらいと言われております。要するに平均的な男性であれば、70分ぐらいのウォーキングはしている計算になります。
運動は、中々進まないこと、継続性に欠けること、ここに問題が出ます。よって、最近ではライフスタイルに合わせて下の2つを話しています。
・摂取カロリーと合わせて考える
例としては、ビールを毎日500mL飲む60kgの方
「ビール500mLのカロリーは、ウォーキング1時間分ぐらいで、1ヶ月分で1kgの体脂肪にあたりますよ」
と説明しています。
すると、ビールを減らすか、運動増やすか、両方やるか、分かってもやらないか。選択をしてもらうことができます。
・1日の最低歩数を設定する
「●●さんは、多い日で8000歩も歩いていますが、少ない日は3000歩ぐらいですね。日本人成人女性の平均歩数はご存知ですか?実は6000歩です。皆、結構歩いているんですよ。でも、いきなり毎日6000歩って結構難しいと思います。なので、まず最低歩数を4000歩にしてみましょう。どんなに少なくても4000歩は歩くように、歩数が少ない日は4000歩まで1000歩追加で散歩をしてみましょう。1000歩は約10分のウォーキングにあたりますので、YouTubeで2曲ぐらい聴きながら歩いたら達成です。」
という話をしています。
個人的にはこのYouTubeで2曲ってのはかなりのポイントです。
1.目的がウォーキングという煩わしいものから
YouTube 2曲分という娯楽に変換される
2.結果として、比較的身近なものに還元されておりハードルが下がる
3.偶数を提示することで、片道1曲ずつと思えばしっかり往復して歩く
また、膝や腰が悪い方は、椅子の上でのしっかり腿をあげた足踏み運動もお薦めしております。テレビを見ながら、CMの時間(3-5分)に足踏み運動をすると、200-400歩ぐらいの歩数にあたります。実際には体重を支えていないので消費カロリーがそこまでは多くは無いですが、動く習慣をつけることは大事ですので、そんな指導をしております。
まとめると、
① 7000kcal消費したら1kg減量成功
② ビール500mLのカロリーは、ウォーキング1時間分
③ YouTube 2曲で1000歩の散歩
この辺が頭の中にありますと日々の指導、食事運動療法の参考にしやすいと思います。ダイエットする側も指導する側も是非知っておきましょう。