30代男、独身を謳歌する

沖縄県で内科医をしています。生まれた地から遠く離れて生きる日々の記録を綴ります。

壊血病

昔、◯ンピースのマンガを読んでいて、登場キャラクターが歯肉から血を吹いていました。

当時、中学生だったため、ふーん、としか思いませんでした。

まさか、NEJMに投稿されてることになるとは

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雑誌名:New England Journal of Medicine

文献名:Mucocutaneous Manifestations of Scurvy

発行日:2020年5月14日

文献URL:https://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMicm1911315?articleTools=true


・72歳女性
・3ヶ月の両下腿の発疹と6ヶ月の歯肉出血を主訴に救急外来を受診した
・既往歴に顕著な食道狭窄があり、少なくとも2年間は経口摂取が不十分であった
・下肢の身体所見では、足首の赤と青の斑状出血に加えて、毛包周囲の点状出血、濾胞性角質増多、コルクスクリュー様の毛を認めた図A、B)
・口腔粘膜の所見では、歯肉出血を認めた(図C)
・下肢から採取した皮膚生検では、毛包周囲出血を伴うコルクスクリュー様の毛を認めた(図D)
壊血病が疑われ、血漿アスコルビン酸濃度が5μmol/L未満(基準値 23-114μmol/L)であり、診断確定となった。
アスコルビン酸の経口投与は500mg/日で3ヶ月間開始となった
・患者は食道狭窄に対して食道拡張術を受け、その後に通常の食事を再開した
・4ヶ月間のフォローアップで皮膚も歯肉の所見も両方とも改善を認めた。